ドラクエⅪ 作り話 8
ネタバレ多々含みます。
ご注意下さい。
捏造・嘘だらけの創作です。
時系列・セリフ等、おかしいところだらけです。
雰囲気でお願いいたします。
今、僕たちはグレイグさんに先導され、デルカダールの城下町を城に向かって歩いている。
グレイグさんと二人の兵士、その後にマルティナとおじいちゃん、ホメロスさんを横抱きにしたシルビアさん、シルビアさんをはさんで僕とベロニカ、最後にカミュとセーニャが続く。
デルカダールにはあまりいい思い出はないのだ。
「…カミュ様、怖いです。」
「……俺だって怖えーよ。」
そうなのだ。
先頭を行くグレイグさんが怖い。かなり、いや、ものすごく怖い。明らかに怒っている。
後ろを歩く僕たちだって怖いのだから、横にいる兵士達が気の毒だ。
彼らもかなり怯えている。
シルビアさんが刺激しすぎだ。
シルビアさんは、意識のないホメロスさんを、いわゆるお姫様抱っこで歩いている。
意識が戻って暴れられると厄介なので、もちろん武器は取り上げ、マホトーンもラリホーもかけている。
鎧は重いから、とシルビアさんが鮮やかな手つきで脱がせた。
そしてホメロスさんには悪いのだけど、手足を拘束している。
縛った手首はシルビアさんの首にかけられ、安定させるために互いの胸のあたりをくっつけ固定している。
それを隠すために、絹のローブを上からかけ、顔はシルビアさんに向け、周りからは見えないように、でも抱き抱えているのがホメロスさんその人だとわかるように金色の髪を垂らしてある。
はたから見ればホメロスさんがシルビアさんに身体を預けているようにも見える。
「あら、あれは」
「グレイグ将軍だ。」「英雄様だ‼」「いつ見ても雄々しい方だなぁ。」
町の人達が騒ぎ出す。
さすがに遠巻きには見ているが。
「ホメロス将軍、お怪我でもされたのかしら?」「ホメロス様を抱いて歩いている方、素敵ねぇ。」「美男美女、いや美男美男?まぁいい、絵になるってこういうのを言うんだなぁ。」
総じて、グレイグさんには「英雄」「強い」「かっこいい」、ホメロスさんには「美しい」「綺麗」といった賛辞の言葉が向けられている。
「あいつ、ホメロスのなんなの?怖すぎるわよ。」
「イレブン、わしも怖い。」
「あの怒り方は尋常じゃねーよ。早く城に着かねーかな。」
僕も怖い。早く着いて欲しい。
そうこうするうちにやっと城の門をくぐった。
みんなほっとしている。
僕達が着いたことをどこかに伝えるのだろう。兵士二人は足早に去って行った。
「では、ホメロスをこちらに。」
やっと、という表情でグレイグさんがシルビアさんに手を伸ばす。
「無理よ。それにホメロスちゃんをどこに連れて行く気?まさか牢に入れるなんて馬鹿なこと考えてないわよね?」
やっとホメロスさんを取り戻せると思ったのに。シルビアさんが放った言葉がグレイグさんを苛つかせ、声を荒げさせた。
「ホメロスは魔に落ちたのだ。牢に入れるのがおかしいのか!!」
「それを知ってるのはアタシ達と貴方と王様ちゃんだけ。傷ついて帰って来たホメロスちゃんがいきなり牢に入れられたなんて、人が聞いたらどう思うかしらね。」
確かにそうだ。
今、宴の準備で城にはいろんな人が出入りしている。
帰ってきて早々に、ホメロスさんが牢に入れられたなんて話はあっという間に広がるだろう。
「うっ……。」
「そうなるといろいろ困るでしょ?」
シルビアさんが優雅に微笑む。
「この子のお部屋に案内してもらえるわよね?英雄様。」
グレイグさんは怒りを通り越して、うなだれた。