ドラクエⅪ 作り話 9

ネタバレ多々含みます。

ご注意下さい。

捏造・嘘だらけの創作です。

自己満足、ファンタジー。

 

俺は悪い夢でも見ているのだろうか?

 

クレイモランの魔女の言葉が引っ掛かり、まさかとは思ったがホメロスを疑った。

ラムダに向かったホメロスを追い、王をお連れしたその先で見たのは、

魔に落ちたホメロスの姿。

勇者とその一行により討たれたホメロス、早く本人を問い詰め、訳を聞きたいのに、

 

なんなんだ‼あいつらは!!

 

確かにあの者達のおかげで、ホメロスは命をとどめた。

王があのような行動に出られるとは、よほどのことだろう。

期待されていた分、落胆も大きかったのだ。おそらく、そうだ。そうに違いない。

我が王に限って、訳も聞かず斬りすてるなど、そんなことはあるはずない。

 

それなのにあいつらは、いや、あの旅芸人と青頭の無礼さといったら……。

勇者の一行でなければ、不敬罪ですぐさま牢に放り込んでやるところだ。

 

とにもかくにも、

 

「まだ来んのか!!!」

「ひっ!!グレイグ様、まだそのような者達の姿は見えません!!」

何の罪もない兵士達にも声を荒げてしまう。

 

遅い、遅すぎる。何をしている。まさかホメロスに何かしてるんじゃないのか、旅芸人。

まさか、まさかとは思うが、ただではおかぬぞ。

 

「ああ、おそらくあれでは??」

 

おびえる兵士が指す方向を見る。

やっと来たか、ん??????

なぜホメロスがあの旅芸人に抱きかかえられている?あ、あれはいわゆるお姫様抱っこ。眠っているのか?どう考えてもあいつは嫌がるはずだ。だが、身を預けているようにも見える。おのれ、まさか何か盛ったか。いや、勇者の一行だ。そのようなことはない、ないはず?いや、なんにしろ許せん。

 

「グレイグ将軍、将軍自らの出迎え、感謝します。」

姫の言葉で我に返る。

「マルティナ姫。」

姫の前にひざまづく。兵士達も俺と同様、ひざまづき頭を垂れる。姫は美しく、強く、成長なされた。

隣にはユグノア先代王のロウ様がいらっしゃる。

「グレイグよ、そう畏まらずともよい。」

「もしや、ロウ様が姫を?」

「そうよ、ロウ様が一緒にいてくださったから、私は今ここにあるのです。」

ロウ様には、感謝してもしきれない。この国の未来を守り、育てて頂いたのだから。

「積もる話は後じゃ。グレイグ、城までよろしくな。」

「はい、ロウ様。」

 

勇者とマルティナ姫、その一行を先導する。

町の者達が気付き始めた。

ん、今なんと言った?

旅芸人とホメロスがお似合いだと‼!!

誰だ、今そう言ったのは!!!!

思わず声のした方を睨んでしまう。

子供がおびえて泣き出した。

すまない、俺としたことが。

とにかく城に入ればすぐにホメロスは返してもらう。すぐにだ!!!!!!!!!

 

だが、

今俺はその旅芸人と青頭をホメロスの部屋に案内している。

やられた。

旅芸人はわざと、ホメロスをみなに見せつけるように歩いたのだ。

今宵の宴でいろんな人びとが城内に入っていることも見通して。

 

「ここだ。」

二人を部屋に入れる。

勇者とその一行の他の者達は、とりあえず別室で休んでいる。

 

「鍵をかけてもらえるかしら、誰も入れたくないの。」

旅芸人に言われ、おとなしく鍵をかけた。

 

「さて、と。」

おいおい、旅芸人。いくらなんでもホメロスを抱えたままベッドに座るな、と言いかけたと同時に青頭がホメロスにかけてあったローブを外した。

 

そこには手足を拘束され、旅芸人と密着するように固定されたホメロス、顔色は土気色だ。

「だから無理だって言ったのよ。」

旅芸人は、先ほどとは違って、優しく微笑む。

「ごめんなさいね。万が一に備えて拘束させてもらったわ。おまけにホメロスちゃん、筋肉がついてるからけっこう重いのよ。」

拘束を外し、ホメロスをベッドに横たわせながら言う。

ホメロスちゃんが身を預けているように見えちゃった?

と笑う。

 

気付けば俺はホメロスに駆け寄り、ベホイムを唱えていた。

だが、 何も変わらない。

 

「回復できないんだ。」

青頭がため息をつきながら言う。

勇者とロウ様も回復させるのに力を尽くしてくれたらしい。

勇者の力をもってしてもダメだとは。

ただ、だからといってこのままでは……。

「おそらく長くは持たないわね。」

「……………………。」

言葉をなくした俺に、旅芸人が言った。

「元を絶たないとダメってこと。協力してくれるわね、グレイグ。」

 

俺は深く頷いた。