ドラクエⅪ 作り話 15-1
ネタバレ多々含みます。
ご注意下さい。
捏造・嘘だらけの創作です。
時系列ぐちゃぐちゃ。
いろいろぐちゃぐちゃ。
ホメロスさん、グレイグさん、小さい頃。
一気に、は無理なので何回かに分けます。
気づけばここにいた。
どこで生まれたのかもわからない。もちろん、親の顔なんて知らない。物心ついた頃にはすでにこの城にいた。魔物に喰われることもなければ、餓えることもない。読み書き、計算という最低限の知識も与えられた。俺は、王のおかげで生きることができていた。それは確かだ。
だが、王の顔など子供の俺でも数えることができるくらいしか見たことがなかった。もちろん言葉をかけられたことなど、ない。
厨房のコックの一人が、俺を可愛がってくれた。夫婦で住み込みで働いていて、子供がなかった。俺は二人が大好きだった。たまの休みには俺を城下町に連れて行ってくれた。肩車をされ、今日は特別よ、と言いながらふわふわの甘いクリームの挟まれた白いパンを食べさせてくれた。寒い夜や、なんだか人恋しい夜は二人の部屋にこっそり忍び込んで、三人で川の字になって眠った。もし俺に親というものがあったなら、こんな感じなのかなと思うと、胸の辺りがほうっ、とあったかくなった。ずっとこれが続けば、と祈った。
だが、それは長くは続かなかった。あらぬ疑いをかけられ、コックは処刑された。王の食事に毒を盛った、と。そんなはずがあるわけがない、俺は王に訴えたかった、が、そんなことできるはずがなかった。悔しくて歯を食い縛っていた俺に、身分の高そうな身なりをしたおじさんが、「強くなれ」と言った。その次の日から俺は騎士見習いになった。
しばらくして王に呼ばれた。グレイグに初めて会ったのはその時だ。
いくら歳が近いからといっても、子供のおもりは勘弁だ。俺は同じ歳の子達と比べ、はるかに大人びていたし、早く強くなりたかった。グレイグは会ってからまだ一言もしゃべらない。泣きはらした赤い目で、たまにこちらをチラッとは見るが、すぐに目を反らす。とりあえずこいつの部屋までは一緒に行ってやるが、早く一人になりたい、読みたい本もたくさんあるのだ。やっと部屋に着き、グレイグをベッドに座らせ、 立ち去ろうとした、ら、髪を引っ張られた。それもものすごい馬鹿力で。
「痛いっ!離せ!何してるんだ!」
思わず叫ぶ。
「ひっ!ご、ごめんなさい!」
初めて声を聞いた。
まぁいい。早く部屋に帰ろう。
自分の部屋に向かって歩き出す。
グレイグがついてくる。
俺は走りだし、自分の部屋に入るやいなや後ろ手に扉を閉めた。
どのくらいたったのだろう。何冊か本を読み終え、喉が乾いたから食堂へ行こうかと扉を開けた。そこに、グレイグがいた。
「お前、ずっとここに?」
コクリと頷き、泣き出した。
さすがに罪悪感にかられる。一緒に食堂に行き、ホットミルクを飲ませると少しだけ落ち着いたようだ。
また部屋に連れて行く。
「これからは、一人で生きていかないといけないんだぞ。」
大人のように諭す。
「さ、もう遅いから寝ないとな。明日から僕と同じ騎士見習いなんだろ?けっこうキツイから寝ないとやっていけないぞ。」
そう言ってグレイグをベッドに横たわらせ、少しだけ頭をなでてやった。また少しだけ落ち着いたみたいだ。ちょっと安心した。自分がそんな優しい奴だなんて初めて知った。
そして部屋に戻った。