ドラクエⅪ 作り話 16
ネタバレ多々含みます。
ご注意下さい。
捏造・嘘だらけの創作です。
表現したいことを簡潔にまとめられませんっ!
みんなに少し遅れて、俺とホメロスが歩いている。
「どうした?ホメロス。何か考え事か?」
「………。いや、何でもない。」
勇者達と旅を始めて3日、少し慣れてはきた。とりあえず2週間の試験期間。試されている、ということだ。イレブンは、大丈夫ですよ、と笑っていたが。
旅を始めるにあたってホメロスは、勇者とその仲間達に謝罪をした。大樹でのこと、それにダーハルーネでのこと。特にカミュには深く頭を下げていた。当のカミュは全く気にもしていないようで、困惑していた。
「じゃあ、もうこの話はなしな。」
カミュが話を終わらせる。
「グレイグ、お前からは何もないのか?」
ホメロスに言われ、気づいた。確かに勇者と姫には謝罪した、が………。
「カミュ、それにみんな、執拗に追い立てて申し訳なかった。」
頭を下げる。そうだ、俺は他の仲間達には一言も謝っていなかった。
「おっさん、もういいって。でも、確かにありゃ怖かったなぁ。」
「うん、カミュ、あの時のグレイグさんの顔。あれは怖かった。」
二人で顔を見合わせて笑っている。
勇者もその仲間達もみな優しい。
謝りたくなかった訳ではない、気づきもしなかったのだ。
ホメロスはイレブンに向き直る。
「イシの村をあんな目に合わせ、村人をも殺そうとした。本当に申し訳なかった。詫びて済むとは思っていない。一生をかけて償う。」
「はい、ホメロスさんには、村の復興を手伝ってもらいますね。ただ……。」
(村のみんなはホメロスさんのこと、そんなに悪くは思ってないんだよね……。)
「ん?」
「ん、えっと、今は邪神の方が先かな、って。」
うんうん、とみな頷く。
「じゃあこれからみんなで邪神ちゃんを倒しに行くわよ!」
シルビアが楽しそうに言う。
「おっさん、何楽しそうに言ってんだぁ?」
カミュがからかうように言う。
カミュにかかればシルビアもおっさんなんだな。
「何言ってるのよ、カミュちゃん。何でも楽しまないとね!ね、ホメロスちゃん。」
そう言ってホメロスに軽くウインクした。
「な、っ。」ホメロスが赤くなる。シルビアに魅了されたのか!?確かにあの男、ん?男、か?まぁいい、かなり魅力の数値は高そうだ。
「あら、照れちゃって、可愛い。」
ホメロスはさらに赤くなる。
シルビアにかかれば、お前もかたなしだな、そう言ってやると、ああ、そうだな、としか返って来なかった。
以前のお前なら、俺相手にならドルマのひとつでも放っていたところなのにな。
「グレイグ、イシの村のことだが。」
ホメロスが急に足を止める。
「お前が追いかけてきて止めてくれなければ、俺は……。」
俺がイシの村に着いたときには、ホメロスはもういなかった。俺が来ると知ると、兵士達に指示を残して去ったという。俺に会いたくなかったのか、とするとまだあの時は完全に魔に落ちていなかったのかも知れない。まだ止めることができたのかも知れない。それはうぬぼれだろうか。
気づいたときには、ホメロスに土下座されていた。慌てて立ち上がらせる。
「俺が止めなくても、お前の部下達はそんなことしなかっただろう。お前が育て上げた部下達がな。」
そうやってニヤリと笑ってやる。
「恩に切る。」
そう言うとホメロスはほっとしたのか、表情が柔らかくなった。それは俺の知っているホメロスだった。
(やはりどうやってもお前には勝てないな……)
早く邪神を倒さないといけないのだが。
この旅が続けばいいのにな、と思った。