ドラクエⅪ 作り話 15-3
ネタバレ多々含みます。
ご注意下さい。
捏造・嘘だらけの創作です。
文章って難しい。
初めてホメロスに会った時のことは忘れない。
僕は一人になった。
生まれ育った国はもうない。魔物の襲撃に遭い、滅ぼされた。たった一人残された僕を、王様が助けてくれた。
王様と一緒に入った城には大人しかいなかった。ただただ怖くて、悲しくて、寂しくて、ずっと泣いていた。
僕の側にいてくれていた若い兵士が、僕に言った。
お前と歳の近い者が一人いる、仲良くなれると思うぞ。あれは表情は冷たいが心の中はあたたかいやつだから。
おまけにとても綺麗なんだぞ、本人はそれをあまりよく思っていないが、たまに見せる笑顔は周りを幸せにする。お前と会ってあの笑顔が戻るといいんだがな。
さ、グレイグ、ホメロスだ、仲良くするんだぞ、兵士が僕の背中を押す。
うわぁ。きらきらしてる。
怖さも悲しみも寂しさも、どこかに吹き飛んでいったみたいだった。
ホメロスの周りにだけ柔らかな光が見えて、心が温かくなった。ホメロスの後をついていく。歩くのにあわせて、ホメロスの金色の髪が揺れる。ただ見惚れていた。
ここがおまえの部屋だ、とぶっきらぼうに言ってホメロスは部屋を出ていく。なくしたくなくて、離したくなくて、思わず髪を引っ張った。
ホメロスは怒って出ていった。僕は追いかけた。嫌だ、行かないで。僕を一人にしないで。ホメロスは走りだし、部屋に入ると扉を閉めてしまった。
扉の前で僕は待った。なぜだかわからないけど、ホメロスは絶対に扉を開けてくれる、と。
かなり長く待ったが、ホメロスは扉を開けてくれた。
自分の部屋に連れて行かれ、早く寝るように言うとホメロスは去っていった。頭をなでてくれた。嬉しかった。
でも一人になるとまた怖くて、悲しくて、寂しくて、涙が溢れた。
気がつけば、またホメロスの部屋の前にいた。待った。なぜだか、またホメロスは扉を開けてくれると。
やっぱり扉は開いた。少し意地悪をされたような気がする。でも、一緒にベッドに入ったホメロスはとても温かくて、僕は絶対にホメロスを離したくないって思った。ちゃんとありがとうって言えたかな、そう思いながら僕は眠りに落ちていった。
そういえば、あの時ホメロスは泣いていた。
なぜだったんだろう?